リビング階段に扉を取り付けるメリット・デメリットは?成功させるためのポイントも解説
2023.10.4
リビング 階段 扉おしゃれな間取りの使い方として人気のリビング階段。
そんなリビング階段に扉を付けたい!と考えている方も多いでしょう。しかし、リビング階段に扉を取り付けるにあたり注意すべきポイントがいくつかあります。
本記事では、リビング階段に扉を取り付けるメリット・デメリットや注意すべきポイントをご紹介します。
リビング階段とは?
そもそもリビング階段とは、リビングの中に階段を設けた間取りをいいます。
別名「リビングイン階段」とも呼ばれており、特に家族がいるご家庭で採択されている間取りです。例えば、お子さんと顔を合わせる回数が増えたり空間自体がおしゃれに見えたりなどいろいろなメリットがあります。また、リビング階段自体をインテリアとして扱うことでリビングのデザイン性もUPすることから夢のマイホームを建てた際には採択したい間取りの1つとして知られています。
リビング階段に扉をつける箇所
そんなリビング階段に扉をつけることができますが、一般的には以下の3カ所から選びます。
- 一階リビング前
- 二階階段上
- 踊り場
一階リビング前
最もポピュラーな箇所が一階リビング前です。
実際にリビング階段に扉をつけるとなれば一階リビング前につけるケースがほとんどです。生活導線を邪魔することなくリビング階段に扉を取り付けたい際には一階リビング前がおすすめ。また、扉は引き戸にすることであらゆるリスクを回避できます。
二階階段上
一階リビング前に扉を取り付けることができない場合は、二階階段上に扉を取り付けることもできます。
しかし、生活導線の邪魔になるケースが多く二階階段上にしか取り付けられない場合は、そもそも扉を取り付けないほうがいいかもしれません。それでもなお二階階段上にリビング階段に扉を取り付けたい場合は以下に注意しましょう。
- リビングの匂いが二階まで流れてくる
- 扉を開けるとすぐ階段がある
踊り場
あまりおすすめできませんが、踊り場にも扉を取り付けることは可能です。
ただ、階段を登っている途中で扉があり生活導線の邪魔になりますし、上り下りしている最中に扉の開け閉めをしなければならなくなります。「どうしてもリビング階段に扉が欲しい!」と強い願望がない限り踊り場に扉をつけることは避けましょう。
リビング階段の扉でよくある失敗事例は?
リビング階段の扉はうまく活用すれば、リビング階段のデメリットをカバーできます。しかし、取り付け方や場所によっては「扉がない方がいい」と感じてしまうことも少なくありません。
ここからはリビング階段の扉でよくある失敗事例を4つご紹介します。
- 扉の開け閉めが手間に感じる
- リビングが閉鎖的になる
- 取り付け費用がかかる
- 家族とのコミュニケーションが減る
失敗事例1.扉の開け閉めが手間に感じる
当然ですが、リビング階段を上り下りするたびに扉を開け閉めしなければなりません。
例えば、洗濯物を抱えてリビング階段を上り下りする際などに扉の開け閉めは非常に面倒ですし危険です。かといって、常に扉を開けているのであればそもそも扉を取り付けた意味がありません。常に手が空いているのであれば問題ありませんが、生活するにあたって扉を開け閉めできないシチュエーションも想像しておくべきだと言えます。
せっかく取り付けた扉のせいで生活に支障が出てしまうのは避けましょう。
失敗事例2.リビングが閉鎖的になる
リビング階段はリビングをより開放的にするために必要な間取りです。
しかし、その開放感を扉によってシャットアウトしてしまうわけですので、リビング自体がかなり閉鎖的になってしまうでしょう。リビングからリビング階段が見えませんし、空間を広く使えるわけでもありません。また、リビングは家族全員が揃いやすい場所でもありますのでより一層な閉塞感を感じてしまいます。
元々広々としたリビングだったとしても、リビング階段の前に扉があることにより一気に狭く感じてしまう方は少なくありません。対策として二階階段上に扉を取り付ける方法もありますが、リビングの匂いや空気が上へ流れていってしまうため日常生活に支障が出てしまうでしょう。
失敗事例3.取り付け費用がかかる
ほとんどの場合、リビング階段へ扉を取り付けるには別途工事費用がかかります。
そもそもリビング階段には扉を取り付けない想定で工事が進んでいることがほとんどであり、イレギュラーな対応が必要になります。業者によっては見積もりの段階でリビング階段に扉を取り付けるかどうかを確認してくれることもありますが、そこまで想定して間取りを決められる方は多くないでしょう。実際にマイホームを建ててから、「リビング階段に扉があったほうがおしゃれかもしれない」と感じるケースがほとんどだと思います。
後から扉をリビング階段に取り付けるとなると、一般的な相場としては5万円ほどかかります。リビング階段の扉は取り付けて終わりではなく、もし日常生活に支障が出てしまい取り外す場合はまた別途費用がかかります。本当にリビング階段に扉が必要なのかどうかを見極める必要があるでしょう。
失敗事例4.家族とのコミュニケーションが減る
一概には言えませんが、リビング階段に扉を取り付けることにより家族とのコミュニケーションが減る可能性があります。
例えば、リビング階段越しで会話ができていたとしても扉が取り付けられたことにより会話ができなくなります。一階と二階でコミュニケーションをとることが難しくなってしまうことも少なくありませんし、わざわざ扉を開けてまでコミュニケーションを取ろうと思わなくなるかもしれません。
ただ、二階に個室がある場合はリビングの生活音が響かなくなるメリットがあります。
- 良い点:リビングの生活音が響かない
- 悪い点:家族とのコミュニケーションが減る
実際にリビング階段に扉を取り付けた際、上記のどちらの方が比率が大きいかを想定して取り付けるかどうかを決めましょう。
リビング階段に扉をつけるメリット・デメリットは?
さて、ここまで失敗事例を見ていただきましたが、リビング階段の扉は取り付け方や場所によってはリビング階段が抱えるデメリットをカバーしてくれる代物です。しかし、メリットばかりではなく生活導線の邪魔になってしまったり時には危険を引き起こしてしまうデメリットもあります。
ここからはリビング階段に扉をつけるメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
リビング階段に扉をつけるメリット
リビング階段に扉をつけるメリットとしては以下が挙げられます。
- リビングの冷暖房が効きやすい
- リビングの生活音が響かない
- リビングの臭いが流れてこない
- 見た目がおしゃれになる
- 子供の転落を防止できる
それぞれ解説します。
メリット1.リビングの暖房が効きやすい
リビング階段が開放的なままだとリビングの冷暖房が効きにくいのですが、扉があることで二階に暖気が流れずに済みます。
暖かい空気は上にいく性質があるため、扉がないとどんどん二階へ流れていってしまいます。せっかくリビングを暖かくしようとしているのにもかかわらず、二階がどんどん暖かくなってしまいリビングは寒いまま…なんてことに。リビング階段に扉があることにより暖房がより効きやすくなりますし、扉を少し開けることで二階にも暖気を送ることができます。
リビングを含む家の温度調節がリビング階段の扉1つでできてしまうのです。
メリット2.リビングの生活音が響かない
扉があることで、リビングの生活音をシャットアウトすることができます。
もちろん100%シャットアウトすることはできませんが、気にならない程度に抑えることは可能です。特に二階で集中して作業がしたい時などにリビングの生活音が聞こえてくるとストレスになりますが、扉があれば閉めることでその音をカットすることができるのです。
リビングは家族が集まりやすく、談笑も多くなるスペースですので自然と二階へ響く音も大きくなります。「二階で集中したいから静かにして!」とリビングにいる家族にお願いするわけにもいきませんから、そういった場合だとリビング階段の扉は必要不可欠だといえます。
メリット3.リビングの臭いが流れてこない
リビングで食事をした際、嫌な臭いが二階まで流れてしまうのを防ぐことが可能です。
例えば、焼肉や魚を焼いた時など臭いや煙が気になりますよね。リビング階段が開放されたままだとどんどん二階へ臭いや煙が流れていってしまいます。先ほどもありましたが、暖かい空気はどんどん上に行くため扉でカットしないとリビングの嫌な空気がそのまま二階に移動することになります。
その空気を扉を閉めることによりカットできるのです。
メリット4.見た目がおしゃれになる
リビング階段を開放的なままにしておいてもおしゃれですが、工夫次第では扉があることをおしゃれに見せることも可能です。
例えば、以下のようにおしゃれにすることができます。
- アイアン調の枠組みをはめる
- ステンドグラスをはめる
- 透け感のあるガラスにする
ただシンプルな扉を取り付けるのではなく、少しでも空間がおしゃれになるような工夫をしてみましょう。
メリット5.子供の転落を防止できる
まだ幼いお子さんがいるご家庭だと、リビング階段からの転落は怖いものです。
階段を登って二階までいき、そのまま階段から転げ落ちてしまう事故が相次いでいますよね。そういった事故を未然に防ぐためにも扉を取り付けておき、お子さんが二階へ上がってしまわないようにしておくべきです。まだ扉を自由に開け閉めできない年齢のお子さんがいるご家庭にはおすすめ。
また、ペットで犬や猫を飼っているご家庭もあるでしょう。そういったご家庭にもリビング階段に扉を取り付けることをおすすめします。
リビング階段に扉をつけるデメリット
一方でリビング階段に扉をつけるデメリットは以下が挙げられます。
- 扉の開け閉めが面倒に感じる
- リビングが閉鎖的になる
- 扉の取り付け費用が別途必要になる
- 視線が気になりやすくなる
こちらもそれぞれ解説します。
デメリット1.扉の開け閉めが面倒に感じる
扉を設置する前に生活導線をよく考えないと、扉の開け閉めが非常に面倒に感じることになります。
例えば、二階まで洗濯物を取りに行くケース。このケースだとリビングから二階まで上がるときに扉を開けて洗濯物を取りに行き、降りてきてから扉を閉めなければなりません。両手が空いている場合はパッと閉められますが、洗濯物で両手が塞がっていると一度洗濯物を置いてから扉を閉めに戻る必要があります。
このように普段の生活でリビングから二階に上がるケースを想定し、扉の開け閉めが面倒にならないかを考える必要があります。頻繁にリビングと二階を移動する方だと「いちいち扉を開け閉めするのが面倒だ」ということで、扉を開けっぱなしにしてしまうかもしれません。それだとわざわざ扉を取り付けた意味がなくなってしまいます。
デメリット2.リビングが閉鎖的になる
リビングがどれだけ開放的でも、リビング階段に扉があるとどうしても閉鎖的な空間になってしまいます。
リビング階段自体は開放的で、リビングの空間を広げてくれる間取りです。しかし、その空間を広げる間取りを扉でカットしてしまうためリビングが狭く感じてしまうことも少なくありません。また、リビングは家族が集まりやすいスペースのため人が多くなりより圧迫感・閉塞感を感じてしまうでしょう。
ただ、一概に扉があるからと言って閉鎖的になるわけではありません。
- 扉をすりガラスにする
- アクリルパネルをはめ込む
- 奥行きが出るようにする
上記のような工夫を凝らすことでリビングに閉塞感を与えなくすることができます。しかし、扉がない場合と比較すると閉塞感は感じてしまうでしょう。
デメリット3.扉の取り付け費用が別途必要になる
おしゃれにするためにリビング階段に扉を取り付ける場合、普通の扉であれば約5万円で取り付けることができます。
しかし、本来は必要でなかった扉を約5万円で取り付けるのは勿体ないと感じるかもしれません。また、上記でご紹介した失敗事例やデメリットがあることを考えると費用をかけてわざわざ扉を取り付けることにメリットを感じないかもしれません。
「それでもリビングをおしゃれにしたい!」「リビングの生活音をシャットアウトしたい!」と強い願望があるのであれば、扉を取り付けても良いでしょう。ただ取り付ける前にシミュレーションは欠かさず行い、取り付けてから不必要だと感じて取り外す場合にまた別途費用がかかることを把握しておく必要があります。
デメリット4.視線が気になりやすくなる
意外と多くの方が気づかないデメリットですが、視線が気になりやすくなります。
例えば、リビングに来客がいる場合に扉をガラッと開けてしまうと一気に視線が集中することが考えられます。ましてやリビングに誰がいるのかが分からない状態ですので、生活しているリズムで扉を開けてしまって迷惑をかけてしまうことも考えられるでしょう。
普通に家族が生活している中で扉を開ける分には問題ありませんが、特別な日などには少しデメリットに感じるかもしれません。
リビング階段に扉をつける際の成功させるポイントは?
多くの失敗事例やデメリットがあるリビング階段の扉。しかし、取り付け方や場所さえ間違えなければ扉は設置する価値のあるものだと言えます。
では、リビング階段に扉をつける際の成功させるポイントを4つご紹介します。
- 一階リビング前に取り付ける
- 防音性を考える
- 閉塞感がないようにする
- 引き戸にする
ポイント1.一階リビング前に取り付ける
リビング階段に扉を取り付けるにあたり、取り付け場所は3つあります。
- 一階リビング前
- 二階階段上
- 踊り場
いずれもメリット・デメリットがある場所ではありますが、一番ポピュラーでありデメリットが少ないのはやはり一階リビング前です。冬場になると暖房を入れる機会が多くなりますが、扉があることにより二階に暖気が流れることを防げます。また、二階にも暖気を送りたいときは扉を開けておけば良いなど家の気温調整が簡単にできます。
もちろん、二階階段上や踊り場がNGというわけではありません。しかし、季節や生活面でのストレスを考えると一階リビング前に扉を取り付けるのがおすすめです。
ポイント2.防音性を考える
リビング階段に扉を取り付ける理由が音に関係することであれば、防音性の高い扉にしましょう。
例えば、「リビングの生活音をシャットアウトしたい」・「二階で集中して作業がしたい」などの理由であれば防音性の高い扉にしておくことに越したことはありません。普通の扉でもリビングの生活音をシャットアウトできますが、100%シャットアウトすることはできません。より音をシャットアウトしたい場合は市販されているものでも問題ないので、防音性に長けている扉を取り付けてもらうようにしましょう。
もし、それでもリビングの音が気になる場合は防音シートを貼り付けたり部屋に防音材を敷くなどの工夫が必要です。
ポイント3.閉塞感がないようにする
開放的なリビング階段を扉でカットしてしまっている以上、閉塞感からは逃れられません。
しかし、閉塞感をできるだけ感じないようにする工夫はしておきましょう。
- すりガラスにして向こうが見えるようにする
- アクリルパネルをはめる
- 扉自体をおしゃれにしてリビング空間に溶け込ませる
扉がある以上、リビング階段が本来持っている開放感を感じることはできません。ただ、閉塞感があるままで生活をすることはおすすめできませんので、ひと工夫加えてリビングの開放感を保ちましょう。
ポイント4.引き戸にする
基本的なことではありますが、扉は引き戸にしましょう。
扉の先に誰がいるのかがわからない状態で扉をバンッと開けてしまうと、怪我の原因となります。そのため、危険性を限りなく減らす意味でも引き戸にしておくことをおすすめします。
リビング階段の扉の代わりになるものは?
ここまでご紹介してきたリビング階段の扉ですが、「本当に必要かどうかがまだわからない…」と悩んでいる方も多いでしょう。
メリット・デメリットがありますし、取り付け・取り外しに費用がかかるため簡単に扉を取り付けることはおすすめできません。そこでリビング階段の扉の代わりになるものを置いてみて本当に必要かどうかを判断することをおすすめします。
例えば、リビング階段の扉の代わりになるものは以下が挙げられます。
- 防音カーテン
- 仕切り板
特に防音カーテンは市販されているものがありますので、扉をいきなり取り付ける前に購入して付けてみることをおすすめします。
建売住宅の場合は注意が必要
ちなみに、建売住宅の場合だと扉を勝手に取り付けてはいけません。
そもそも建売業者はリビング階段に扉を取り付けることが普通だとは思っていませんので、勝手に扉を取り付けるとトラブルになります。また、標準仕様で扉は加味されていないため設計図の建築確認を申請する際には扉を加味していない状態で申請を出します。しかし、勝手に扉が取り付けられていると申請が出せないためタイミングを見る必要があります。
もしどうしても扉を取り付けたい場合は、建築確認や完了検査が終了してからにしましょう。
まとめ
リビング階段に扉を取り付けるのにはメリット・デメリットがあり、一概に「取り付けたほうがいい」「取り付けないほうがいい」と言うことはできません。
実際にリビング階段に扉を取り付けて生活導線の邪魔にならないか、リビングが閉塞的にならないかなど事前に確認をしておき取り付けるかどうかを判断することをおすすめします。